第8話

「この辺りに落ちたそうだ!早く探せ!」




フードを被せながら面倒なことになったと溜息を吐く。



ただでさえ、近頃奴らの気が立っていることで被害を受けているというのに、その元凶を抱え込んでしまっている。



寧ろ、この少女を差し出せば少しは厄介ごとも減るのではないかと名案が浮かんだ。



ーーその時だった。



事切れたかのように気を失っていた少女が動いたと思えば、次の瞬間には容赦なく大剣で斬りかかってきたのだ。



瞬時に体制を整え、少女から距離をとり銃を取り出す。



数発撃ち込めば、少女が後方へと下がった。



だが、反撃しようにも大剣の重さに撃たれた右肩が耐えかねたようで、振り翳す度に血が吹き出している。



それでも、我が身が惜しくないと言わんばかりに怯むことなく真っ向から挑んでくる。



ーーそれはまるで、痛みを感じていないかのように。



流れ出る血はやがて少女の指先まで伝い、振りかざした剣の狙いが大きく外れ宙を斬る。



その隙をつき、無抵抗となった少女に容赦なく

銃口を向ける。







刹那、辺りが闇に包まれた。



黒い煙が視界を塞いでいる。



ーー煙幕か。







土壇場で何者かの助けが入ったようで、視界を取り戻した時には少女は姿を消していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る