第3話

ビルの屋上から伸びた影。



白の外套を見に纏う何者かが、粛として佇んでいた。



音もなく、気配もない。



人であるかも定かではないほどに、姿が見えない。



こうして視界に入れても尚、不気味なほどに存在感を感じられない。



白を纏うその様は、まるで幽霊か或いは死神のよう。



そして、唯一目を引くのはその手に持つ大剣だ。



時代錯誤且つ異形な様に正体を窺えることもなく、言葉を失ったまま固唾を呑みことしかできない。











「ジャンヌ‥‥ダルク」




やがて、冷たい夜風が吹き抜けると同時に静かにその名を口にした。

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