第19話.町へ・後編
冒険三日目。
巨大なスライムに襲われているので、走って逃げている。
巨大スライムは、俺100人分の大きさだ。
「ちょ、ちょっと待ってもらって」
スライムにそんなことを言っても意味はないが、仕方がない。
「このスライムと戦わない?」
「何言ってるの?」
「戦おうって言ってるの」
巨大スライムと戦闘する?
俺らの手持ちは木の棒とコップだぞ。
この二つで巨大スライムに勝てるわけがない。
「勝てるの?」
「勝てる」
リリースは自信のある表情をした。
何か秘密兵器を持っているのか……
「どうやって勝つの?」
「木の棒で叩いて勝つの」
木の棒で叩いて勝つ。
どう考えても無理だ。
「それは無理だっ
「私は戦う」
リリースは立ち止まった。
立っている姿が勇敢である。
まるでアニメ主人公のようだ。
これは勝てそう……と言いたいとこだが、無理だろう。
あんなに大きなスライムは撃破できない。
……リリースは怪力だし、撃破できるかも。
「おりゃあ!」
リリースは巨大スライムに飲み込まれた。
……撃破できるわけがないよな。
怪力で撃破できるかも、という気持ちもほんの少しあったが、やはり無理だった。
「助けて」
「今から助けるよ」
助けると言っても、どうしたらいいか分からない。
このままスライムに突っ込んでも、俺も一緒に巻き添えになるだけだしな。
どうするか……
「早めに助けて」
「分かった」
分かったと言いながらも、リリースを助ける方法は思いつかない。
……一か八か、スライムに突撃するしかないか。
巻き添えになる可能性の方が大だが、リリースを助けれる可能性もある。
仕方がないが、これしか思いつかない。
俺は巨大スライムに突撃し、木の棒で突いた。
巨大スライムはビクともしなかった。
……俺も飲み込まれるらしいです。
――――
一日ほど経っただろうか。
俺とリリースは生きている。
死を覚悟して、人生の最後は楽しもう! ということになり、じゃんけんを楽しんだ。が、生きていた。
いつの間にかスライムは俺らを吐き出し、いつの間にか俺らから離れていたのだろう。
寝て起きたらこの状態だったので、スライムがどうしたのかは知らない。
ちなみに、リリースは全裸になっている。
巨大スライムにも服を溶かす能力があったらしい。
「衣服は落ちてないかな……」
「落ちてたらいいね」
正直、落ちている気配はない。
まぁ、当然だろうが。
「あまり見ないでよ」
リリースは顔を赤らめている。
俺は自然と全裸のリリースを見ていた。
すいません。見ないようにします。
――――
池に辿り着いた。
第三のセーブポイントだ。
「お風呂に入ってくるね」
「分かった」
「サトルは入らないの?」
「入らないよ」
「スライムでベタベタなのに入らないんだ……」
俺はスライムのベタベタより、水の冷たさの方が嫌いなんだ。
――――
リリースはお風呂から戻ってきた。
「今日のご飯は
「無しでいいんじゃない?」
「何か食べたいよ」
何か食べたいと言われてもな……
草は絶対に食わせないぞ。
「そこら中に草があるし食べよう
「あ、近くに野菜畑があったな」
「そうなの」
「そうだよ」
もちろん、草を食べさせないための嘘だ。
だが、仕方がない。
「俺についてきてよ」
「分かった」
――――
「野菜畑なんか無いじゃん」
「あ、あと少し歩いたら出てくるよ」
この先歩いても、野菜畑は絶対に現れない。
「もう草でいいじゃん」
「草はダメだよ。野菜を食べないと」
「草でいいのに」
なざ草でいいんだ。
草を口に放り込むごとに吐き出すんだぞ?
食べている意味がない。というか、食べれていない。
俺は歩いていると、目の前に衣服が現れた。
スカートと上着だった。
「これ、着てもいいんじゃない?」
「そうだね」
リリースは衣服を着た。
俺は着れないらしい。
まぁ、リリースに着てもらうのが当然か。
「まだ、スースーするな……」
そういえば、パンツは無い。
……俺はいつになったらパンツを見れるんだ。
「町で全裸で歩く必要がなくなったから、よかったんじゃない?」
「それはそうだね」
もう一着現れてください。
「もう寝ようかな」
寝るということは……食事を摂らないということ。
つまり、草を食べさせずに今日を終わらせるということだ。
衣服に感謝を捧げよう。
「なら、おやすみ」
「おやすみ」
――――
冒険五日目だ。
「明日には町に辿り着くと思うよ」
町まであと少しか……
30キロメートルは意外と苦しいな。
――――
第四の池に辿り着いた。
それと同時に、森が現れた。
ついに森だ。
久しぶりの森に感動を覚えた。
森を見て感動をするときが来るとは……
逆に草原を見たら落胆するだろう。
「森が現れて嬉しい」
「木が採集できるから焚き火ができるね」
火と出会うのも久しぶりだな。
森は最高だ!
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