第18話.町へ・中編

 冒険から二日目。ついに、初モンスターと遭遇した。


「スライムが現れたよ」


 俺が求めていたモンスターだ。


「よし、戦おう」


 これからリリースのパンツが見れる。

 楽しみで仕方がない。

 スライムさん。精いっぱいリリースさんの衣服を溶かしてください。


「なら、サトルが戦いに行って」


 俺が戦闘すると、リリースのパンツが見れない。

 リリースに戦闘してもらわないと困る。


「リリースが先に戦いに行って。俺はピンチになったら行くからさ」

「サトルが行ってよ」

「リリースは戦ったことがあるんでしょ? なら、リリースがお手本を見せてよ」


 俺はリリースに戦闘させることに心を痛めている。が、心を痛めないとパンツは見れない。

 ここは心を痛めよう。


「分かった」

 リリースはスライムのところに行き、攻撃を始めた。


「おりゃあ! おりゃあ! おりゃあ!」


 リリースは木の棒をひたすら振っているせいか、スライムに全く当たらない。

 お嬢ちゃん、狙いを定めないと当たらないんだよ。

 仕方がない。ここは俺が手本を……とはならない。

 パンツが第一優先だ。

 このやり方でパンツを見るのが、一番罪悪感がなくてすむ。


「おりゃあ! おりゃあ! おりゃあ!」

 スライムが飛び跳ねた。

 ついにリリースのパンツが……

 ワクワクすっぞ!


「おりゃあ! おりゃあ!」

 リリースはスライムを撃破した。

 飛び跳ねたスライムに、偶然、木の棒が当たったらしい。


 俺はパンツを見れないらしい……


「パンツ……」

「パンツ?」

「あ、何でもないよ」

「そうなんだ。なら、次はサトルの番だよ」


 スライムはもう一匹いたらしい。

 今回は俺が撃破するしかないよな……


 俺はスライムに近づき、攻撃をした。

 スライムは俺の衣服にくっついた。


「ちょ、ちょ、離れて」

 俺は木の棒でスライムを叩くも、撃破できない。

 というか、全く効果がない。


 リリースはスライムを撃破していたのに……

 あ、リリースは怪力だったか。


 ……これ、俺が衣服を溶かされる感じ?



 リリースに手伝ってもらい、スライムを撃破した。

 しかし、俺の衣服は溶けてしまった。

 全裸状態だ。


 俺はパンツが衣服なことを忘れていた。

 パンツが衣服なのは当然だろ! と、今なら思う。が、さっきまでは興奮で、パンツが衣服なことが頭から飛び出ていた。


 俺の目的はパンツ。

 リリースの体は目的ではない。

 なので、リリースがスライムに襲われなくてよかったと思う。


「……これからどうする?」

 リリースは顔を赤らめている。


「とりあえず、町に向かおう」


 どこかに服が落ちていることを祈ろう。


――――


 冒険二日目の夕方。

 次なる池に辿り着いた。

 この冒険では池がセーブポイントらしい。


「お風呂入ってくるね」

「お風呂?」

「池に入ってくるんだよ」


 池でお風呂か……池も豪邸の湯船並みに冷たそうだな。


「分かったよ」

「サトルは入らないの?」 


 入りたくない……と思ったが、リリースと一緒なら入る。

 一緒に入るということは、パンツが見れる……脳からパンツという単語を無くすべきかもしれない。

 とりあえず、入らないでおく。


「俺は入らないでおくよ」

「分かった」

 俺はその場で横たえた。

 

「あ、お風呂中、絶対に見ないでよ」


 着替え中とお風呂中にリリースを見るな、ということか。

 着替え中は見たいが……我慢しよう。と

 

「分かった」

「本当に見ないでよ」

「分かった」

「絶対に見ないでよ」

 

 しつこいのだけど。

 リリースは着替え姿を見てほしいんですか?


 見るなよ、見るなよ、見れや! というやつか? 

 そうだとしても、我慢する。

 脳からパンツを払拭させなければいけない。

 ……パンツ見たいよ。

 

――――


「見てないよね?」

 リリースはお風呂から上がった。


「見てないよ」


 俺はリリースの着替え姿を見なかった。

 偉いぞ、偉いぞ!

 もう脳の中にパンツがないということだぞ!

 ……パンツ見たい。


「絶対に見てないね?」

「うん」

「なら、ご飯作るね」


 ご飯か……って草のことか?


「ご飯って草?」

「そうだよ」

「なら、作らなくていいよ」

「いや、作るよ」


 また草を食うのか?

 さすがにやめておいた方がいいよ。


「俺が作るから作る必要はないよ」

「サトルは料理したことあるの?」

「前世では、料理の番人と言われていた男だから、料理はできるよ」


 全てが嘘だが、草を食べさせないためだ。


「なら、今日は任せようかな」


 し、初心者でも作れるよね?


――――


「これは……不味い」

 リリースは草を吐き出した。


 すいません。何時間探しても、草しかありませんでした。

 草を食べさせないはずだったが……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る