第5話 トラブルのその後

前回のあらすじーー


襲いかかって来た男を倒した凛花

自分がしたことが覚えていなく少し不安な様子だったが

怪我もなく安心したところだった。

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そうじゃった、まだお嬢ちゃん達の名前を聞いてなかったのう!

ワシの名前は"パトス"という者じゃ!

武器鍛冶を専門にやってる老いぼれじゃ!この度は本当に助かった」

ひげを摩りながら丁寧にあいさつをしてもらった。


「えっと、私の名前は ミカミ リンカと申します

 パトスさんですね、よろしくお願いいたします」

少し緊張した様子で自己紹介をした。


「うちは シロガネ サキ っていいまーす!

 よろしくねーパト爺!」

凛花と比べて全く緊張していない咲希だった。


「ちょっと咲希ちゃん!いきなりパト爺なんて呼んだら失礼だよ!」

相変わらずの咲希に凛花は少し怒った。


「まぁまぁ、"パト爺"か…

 意外とそう呼ばれるのも悪くないのぉ

 ワシは気に入ったぞ」

案外喜んでいるパトスであった。


「ところでお二人とも少し変わった名前じゃのう

 もしや、どこかの貴族のご令嬢であったか?」

少し不思議そうに聞いてきた。


「え、えっと まぁそんな感じです!

 でもどうしてそう思ったんですか?」

はぐらかして答えた。


「おぬしらの名前は上の名かみのな下の名しものなが分かれておるじゃろ?

 基本的には貴族以上でなければ下の名しかないのじゃよ

 それで名前を聞いたときにもしやと思ったのじゃ」



「そうなんですねー!

 あまり外の世界に触れてこなかったので知りませんでしたー

 (今後は気をつけなきゃ…)」

異世界のルールに少し驚いた凛花であった。


「お互い自己紹介も済んだことじゃし

 ワシの工房で武器制作をするとしようか!」

張り切っているパトスであった。


「あ、少し待ってください!私たちこの村に来てから宿を決めてなくて

 それが決まってからでいいですか?」


「そうじゃったのか!村について早々迷惑をかけたもんじゃ

 では、また二時間後ぐらいにそこの噴水で落ち合うのはどうじゃ?」

パトスは少し離れた噴水を指さした。


「分かりました、では二時間後であの噴水でお待ちしてますね」

そういうとパトスは手を振りながら去っていった。


「なんか色々ありすぎて、うち疲れちゃったよ~

 宿とかってどうしようかーどこかいいところあるかなー?」


「そうだねーお金とかもないし、何から始めようか…」

すると困っていた二人に誰かが声をかけてきた。


「わたくしこの村の警備隊長を任されております "トルビア"と申します!

 リンカ様とサキ様ですね!ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございません

 先ほどは私たちに代わり村の治安を守っていただきありがとうございました!

 お二人がいなければ今頃大変なことになっているところでした!

 本当に感謝しております!」


「いえいえ、私たちは正しい事をしたまでですから…」

少し照れくさそうに言った。


「とんでもございません!

 お二人はとてもすごい事をやったのですから胸を張ってください!

 ところで、先ほど少し会話を聞いてしまったのですが

 宿がまだ決まってないのだとか」


「そうなんだよねーうちら まだ宿を見つけられてなくてねー

 おまけにちょっと事情があってお金も全くなくて困ってたところでさー」


「でしたら今回の謝礼を含めまして、こちらで宿を紹介させてください!

 もちろんお代も結構ですので安心して下さい!」


「本当ですか!それではお言葉に甘えさせていただきます!」

まさかの展開に二人は顔を合わせて喜んだ。


「では私について来てください!宿まで案内いたします!」

そういって宿を目指すことになった。



少し歩いて数分後ーーー



「お待たせしました!こちらになります!」

そうしてついた場所は明らかに周りとは格が違う建物だった。


「ほんとにここに泊ってもいいんですか…?

 すごく高そうな感じがしますが…」

思っていたよりも豪華な建物に驚いて聞いてしまった。


「もちろんでございます!こちらは来客用の貴族様たちが泊ることを想定した

 宿であり、お二人にはこちらに泊っていただいてかまいません!」


「りんかちゃん!なんかすごそうだよ!

 ありがたく泊まらせてもらおうよ!」

思ってた以上の光景に咲希は、はしゃいでいた。


「では、私はここで待っておりますのでチェックインをお済ませください!

 話はもう通信石を通して伝えていますのでそのまま案内してもらえるはずです!」


「素敵な宿を紹介していただきありがとうございます!」

そういって宿の扉を開けた。



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