学サー1-21
話の語り部たる現在の僕は二年半後の僕であるからして言えるのだが、みつきさんの話す事は全て真実だった。真実だったはずだ。正確に言えば今も確証が持てないのだが。だけれどもっとまともに聴いておくべきだったと後悔している。この時の僕は「誤魔化しの作り話に付き合ってやろう」といった心持ちだった。当のみつきさんが真剣そのものに話していたから
肉の塊を
「五稜は私の敵なんだ」
みつきさんはもうビールをお代わりしていた。インドのものだろうか。見慣れぬラベルに描かれる青い鳥はみつきさんに束の間の幸せを連れてくる。彼女はいまとても穏やかな表情で僕に語る。
「五稜のせいで私は人間じゃ無くなった。もうずっと昔、
言って、ビール瓶を持ったまま両手を頭上に掲げて見せる。腕を
「雨が冷たくてね。肩を上げている感覚はあれど、無事に
僕はようやくと口中のマトンを飲み下す。
「ソコツツノオノミコト?」
「神さまさ。
「先生がその神さまだったてことですか」
「違う。あいつが何者か私も知らないんだ。元は人間だったのだろうが。次、私の視界が再度開けた時には、
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