学サー1-19
テストの出来は散々なものだった。当たり前だろう。あんな体験をして平常心を保てる訳がない。必修科目の単位を落としてしまったかもしれない。
後藤先生の受け持つ風俗史についても
実は上野だけで無く菊池さんや前原先輩とも連絡が取れなくなり、やがてこれら一連の事案は全国ニュースにまで上るようなる。お盆前にはサークルでバーベキューをするつもりでいた。やはり中止にするしか無いよね、先輩達どうしたのだろうか。アプリのトークルームにそんなぼやきを投稿してみたけれど、誰からの返事も得られなかった。ただ時間とともに積み上がる既読数があるだけだった。みな言い知れぬ不安感を抱えていた。大学からは一斉送信のメールが飛んできただけだ。新しい情報は何も無い。ただ危きに近づかぬよう夏季休暇を過ごせとの文言に、ああ、人が数人いなくなろうが予定はそのままに進むものなのだなと思い知らされた。
僕は先生の掻き消えた部屋でみつきさんに詰め寄っていた。今のは何だ。先生をどこにやった。先生が燃えていた。先生の腕がとれた。散らばる紙はなんだ。お前は一体何者なのだ、と。下河辺みつきは人差し指を口元に立てた。不思議なもので、僕の追及はそこでぴたりと止んだ。先生の右腕と踏み
「また今度詳しく話す。また連絡する。今は何も聞かないでくれ」
部屋にはまだ汚臭が立ち込めていた。僕は顔を押さえて頷いた。頷くことしかできなかった。
当然、風俗史の期末試験は流れた。テスト期間最終日、配られた紙に名を書き提出しただけで終えた。当の先生がいないのだから仕方が無い。テストの無い代わりに出席率で算定すると言い渡され室内は騒然となった。けれど僕にはそれどころで無かった。あの日の後藤先生のことがいつまでもこびりついて離れない。隣席の渚も浮かぬ顔をしていた。美咲渚は馬鹿じゃ無い。突如現れた不審な女が先生のことを気にかけたのだ。彼女は何かに気づいたかもしれない。そしてこれは僕も同様に思っている。オタ飲みモンスの周りに何かが
そうして僕らに夏休みが訪れた。
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