第3話 タケオ
やることのない夜は辛くて友達がいてくれたらなと思う。やることがあって、いつのまにか夜になって、程よく疲れているとぐっすり眠れる。けど今日はそうじゃない。困った困った。
悩んでいると友達ができた。
タケオくんだ。タケオくんは丘の上の学校でたくさん勉強をしているらしい。
「タケオくんこんにちは」
「、、、、、、、、、、ぅーん」
「タケオくんはじめまして」
「、、、、、、、、、、ん?ああどうも。、、、、、」
タケオくんは眉をなだらかな八の字にしながら少し下を向いている。
「タケオくんは今日は何を考えているの?」
「、、、、、ん?ぼくは、、、、、。何を考えていたんだろう。普段考えていることを頭の中にたくさん浮かべて、声に出せないくらいの速さでそれをなぞったりすすめたり、そこに集中していたんだけど。話そうとしたらわからなくなってしまった」
「すごいことをやっているんだね、答えがでることはあるの?」
「答えが出ることもあるし、答えが出ないとわかることもあるよ。問題が間違ってることや僕の考えが足りないことも多々あるね」
「そうなんだタケオくんはどうしてそんなに勉強して、考えているの?」
「勉強してから何かをすると、退屈しないんだ、勉強したことが重なる気がしてね。考えるのはね、、、、、納得できていないと少し不安なんだよ。それだけかな。だんだん考える時間が長くなってきて大変な時もあるよ」
タケオくんの話を聞いて、ぼくが何かをやることと似ているなと思った。タケオくんは考えることでそれができるみたいだ。
「タケオくんありがとう。勉強になりました」
「それはよかった。それじゃあ」
タケオくんはそういって小径が続く林の中をてくてくといってしまった。タケオくんの考えがいつかみんなの前に姿をあらわすときもくるのだろう。いつのまにか周囲は紺色に明るくなり始めていた。タケオくんと考える時間はゆっくりはやく過ぎ去ったんだ。タケオくんとはもう会えないと思う。僕はまた一人友達がいなくなった。これだけ明るいと安心だな。僕は大きく息を吸い込んだ。
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