第4話 やっぱりおふくろの味が一番落ち着くんだよなあ…なに?母さん。え、冷凍食品…?
「あーあ。廻さんが来るなら言ってくれれば良かったのに」
仕事で朝からクリスの傍から離れていたオットは帰ってきて早々主人に対して不満を漏らした。もしもオットが仕えていたのが幼馴染みでだいぶ仲良しのクリスではなく、廻たちによって追放された元国王だったら死刑ものだっただろう発言。前の章の重要性が分かる一言だ。国王、追放してよかった。
「仕方ないじゃん。あ、でも近いうちにまた会えるんじゃない?」
「えっ!本当に!?いつ???」
目の色を変えて問いかけるオット。もともと彼は廻の大ファンだ。理由は『なんかクールでかっこいいから!!』だそうだ。
「実は依代の警備のお代として、異世界に繋がる鏡を要求されてね…オークション自体、今のところうまく行きそうだから多分すぐ会えると思うよ」
「異世界に繋がる鏡……」
オットの顔色が暗くなる。
クリスにも何となくその理由がわかった。
巡廻を勇者として召喚したのは国でもトップの実力を持つ召喚士のオットだ。この世界でも数少ない者のみが使える召喚魔法。実は誓約がめちゃくちゃ多い。異界と現界を繋ぐのだから神々の協力も少なからず必要だ。
そして、誓約の一つとして重要視されてるのが召喚される人間だ。人間とは、生まれたその世界で生をまっとうし、死を迎えなければならない。
だから、召喚される人間は『限りなく死に近く、その世界から外れつつある者』でなければならないのだ。
「正直、召喚魔法は変わりがいくらでも効くよ。死に近い人間はたくさんいるし、誓約だって満たす人間もたくさんいる。でも……」
――――召喚される人間の気持ちは召喚に反映されない。
オットの言いかけた言葉はある可能性を表示した。
――もしかしたら、廻さんは元の世界に帰りたいのかも……
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