第2話 対話って難しいよね。しーんとなると話さなきゃいけない(使命感)がオレを襲う

「依代なんて、1000年ぶりぐらいですよ!」

 以前、テンションが高いシスターアリス。なんでそんなに元気なんだ。魔族というものは。


 依代は神を奉ってる本拠地のようなものなのだから、そりゃゴージャスなものだと思っていたのだが…

 依代の入り口は小さな洞窟だった。中には社とその周りを囲む青い鉱石。神秘的と言えば神秘的だ。売ったら高そうだし。どうせなら、持って帰ってしまおうか。

 「それにしても静かだな…」

 「そうですね…」


 人の気配がまるでない。

 あの小さな洞窟だと、入ってこようとするやつもいないのだろう。

 そうなると…


 「「暇だ(ですね)…」」


 シスターアリスは多分両無口を気まずく感じるタイプではないだろうが、俺は別だ。普通に気まずい。

 「シスターアリスは初めから魔王だったの?」

 何気ない感じで質問する。

 「いいえ。父が魔王でしたので、それを娘の私が引き継ぎました」

 驚いた。そんな世代交代式なのか、魔王。

 「いま、お父さんは?」

 「私が魔王になってからしばらくした時、1人旅に出るといったきり…」

 シスターアリスは微笑む。なんだか、苦しそうに。

 不味い。地雷か。地雷踏んだか?


 「あ~えっと……どんな、人だった、お父さん」

 我ながら、話題が雑だ。これは気遣いがばれる。気まずい。

 シスターアリスは俺の気遣いを察したかのように、明るく努めて言う。

「そうですね…父はどこにでもいる、いわゆる『遊び人』という部類の人でした」

「遊び人って…」

 清楚の大元のような彼女の肉親らしからぬ評価だ。

「それでも…」


「それでも、私は父を尊敬しています」


 少し照れたように微笑む。

 その顔は相変わらず美しかった。

 その元・魔王はシスターアリスのような出来た娘を置いてどこにいってしまったのだろうか。


「湿っぽくなっちゃいましたね」

「そうだね。まあ、貴重な話が聞けた気がする」

『シスターアリス父話題』はこれにて終了した。

 ………またしても気まずい空気が流れる。

 さっきのこともあるから、変に話題を出しづらくなってしまった。


「…あの、勇者様のご家族はどのような方ですか?」

 そんな空気のなか、静寂を切り裂いたのは彼女の言葉だった。


『家族』……



「うわっ!!??」

「きゃっ!!!」

 色々思うところがあった時、目の前が光出した。

 祠から発している輝きに当てられてか、俺の意識は遠くなっていった……

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