第8話 妹の友達はノッてくる。

 つかさちゃんが夕飯を作ってくれることになった。

 妹はまだ部屋から出てきてない。


 今日ばかりはそれが有難いのだが色々気になってしまうことがあるので顔を合わせるのも複雑な気持ちなんだけど、家族だし、会わないわけにはいかないし。

 願わくば何も気付いてほしくないって思う。

 まあ、今のつかさちゃんを見れば間違いなく無理だろって感じなんだけど……。


「えへへへへ♡」


 つかさちゃんは上機嫌だ。それはもう見ればわかるってくらい顔がにやけてる。

 普段はそうじゃないのに鼻歌が出てしまうほどで、仮に妹がまだ何も気付いていないとしても、顔を合わせればそれだけで何かあったと気付いてしまうだろう。


 まあ、別にいいっちゃいいんだけど。

 どうやら妹もあまり触れないとはいえ応援してくれてるみたいだし。

 ただ、そう、恥ずかしいのだ。それさえなければ、別に触れられたところで何ってわけでもないことなのだ。


 正直に言うと気持ちはわからなくはない。

 実際僕も冷静なふりしてるけど飛び上がりそうなくらい嬉しいわけだし。


「はるたさん」


 料理をするためにキッチンに立ったつかさちゃんが、俺に振り返ってそっと手を伸ばしてくる。

 一旦準備を中断しなきゃいけなかったみたいだ。

 求められるままに手をつなぐと、つかさちゃんはほわっと笑う。


「んへへへへ♡」

「機嫌がいいねぇ……」

「はるたさんこそ。雰囲気が違いますよ」


 そうかな? 自分じゃいつも通りにしてるつもりなんだけど。

 いや、そんなつもりでも抑えられない感情があるのか。

 それなら見るだけでバレても仕方ない。


「手伝うよ」

「ありがとうございます♡ 一緒に台所に立つの、やっぱりいいですね」


 つかさちゃんは上機嫌だ。

 まあ、最近は大体常にそうなんだけど。


 二人で料理をするのは今更珍しいことじゃない。親がしょっちゅう居ないから昔から僕が作っていて、いつからかそこにつかさちゃんが手伝ってくれたり、しばらくするとつかさちゃんが主導してくれるようになって。

 元々料理は好きみたいで、今じゃ僕より全然上手いし手際がいい。


 それでも僕はいつも彼女の料理を手伝ってる。

 何もしないのが失礼っていうのもあるし、料理自体が結構好きだし、つかさちゃんと過ごす大事な時間でもあるからだ。


 実際つかさちゃんも喜んでくれてるし。

 今日はいつもよりウキウキしている。わかりやすい子だ。


 調理をしながら、つかさちゃんは体を寄せてきて、不意に触れてきたりする。

 たまに手をつないだりするからどうしても作業が遅れがち。

 僕も抗ったりせず、それを嬉しいと思ってる。

 これまでにもあったなんでもない時間なのに幸せを感じていた。


「はるたさん」


 甘えるでもなく、いつもみたいな感じで、でも今までとはどこか違って。

 つかさちゃんが僕の名前を呼んできた。

 何を言わんとしているかはなんとなく伝わってくる。

 女心がわかる自信なんてないけど、彼女は特にわかりやすい気がしてならない。


「つかさちゃん」

「は、はい……んっ」


 僕から顔を寄せて、唇にキスをする。

 つかさちゃんは目を閉じてその瞬間を待ってた。

 まさか、この僕が自分からこんなことをする日が来るなんて。


「んぅ……えへへ♡」


 一瞬だけ触れて、すぐ離れたわけだけど、つかさちゃんは嬉しそうだった。でも満足してはいないのか、その後もふんふんと鼻息荒く僕を見上げてくる。

 やっぱりこういうのは好きみたいだ。

 女の子だからというより、エッチなこととかに興味があるからなんだと思う。


 その後もつかさちゃんは鼻歌交じりで料理をして、たまに僕にキスを求める。

 何度も繰り返し、ちゅってした。


 本当に、妹には見せられない光景だ。

 僕とつかさちゃんはこの時間を楽しんでるし、幸せすら感じるけど、仮にこんなところを見せられてしまったら妹はどう思うんだろうか。


「つかさちゃん……見られないようにしようね。せめてもの配慮で」

「え? わかりました。でも、もうバレちゃってますけどね」


 あぁそうか、色々話してたんだなぁ。アドバイスもしたのかもしれない。

 うーん……気まずくならないようにしたい。

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妹の友達がムラムラしている。 ドレミン @kokuwadoremin

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