第53話

「もっと痩せたら、抱く気も失せるでしょうね」




色々と言いたいことはあるが、こいつの場合は逆ギレされて私が酷い目に合うだけだ。



それでも黙っているのは癪で皮肉を言ってやった。






「安心しろ、骨だけになっても抱いてやる」



それなのに、そんな皮肉を軽々と受け流した。



しかも、不敵な笑みを浮かべて。






「それ、もう死んでるじゃない」


「例え死んだとしても、離してやる気はさらさらない。だから、馬鹿みたいなことはするなよ」




この男は、どうしてここまで私に執着するんだろう。



自分に興味を向けない女が珍しかったとか、気に入らなくて、意地になって手元に置いているとか、そんな安直なことをするやつではないのに。







「熱は?」


「とっくに下がった」


「そうか」




義務的に告げると、私をベットに押し倒した。

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