第52話

「ちょっと、何?」




不意に手を伸ばしてきたと思えば、服の中に手を入れて何かを確かめるように触り出す。



時折、ほぼ皮しかない肉を掴んでは眉間に皺を寄せる。





ーー何?何なの?何がしたいの?








「人が苦労してつけてやった肉を減らしやがって」


「‥‥は?」





何故肉付きの話?



私は家畜か?






「鶏ガラは嫌いなんだよ。程よい肉つきにしろ」


「意味が分からないんだけど」


「抱き心地がさらに悪くなんだろ」





‥‥ああ、そういうこと。



というか、〝さらに〟って何よ。



文句があるなら抱かなければいいでしょ?



そもそも、痩せたのは熱のせいで食欲がなかったのと吐いたりしてたせいだから、こいつにとやかく言われる覚えはない。



いつもは無駄に家にいるのに、人が苦しんでる時に限って狙ったようにいなかったくせに。



実際、私がどんな目に合おうがこいつは気にも留めないだろうから、敢えてうつされないように来なかった可能性すらもあるんだ。

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