第50話

ベットに降ろされた私は、することもなく時雨がシャワーを浴びる音を聞きながら天井を見上げていた。



久しぶりにまともな食事をした気がする。



寝込んでいる時はとてもじゃないが食欲なんて湧かなかった。



それに、過去のこともあり、人一番胃が小さくて食べる量が少ない。



無名と同じで、食べなくても平気な方だ。



というより、自主的に食べることがあまりない。



出されたら食べるとか、言われたら食べるくらいで、正直なところ、食べるという行為の必要性を感じない。



生きていくためには必要だと分かる。



けれど、生きたいと思っていない私からすれば、そんな生理現象すら湧かない。





これでは、まるで廃人だ。



無名にあれこれと言えた義理ではないなと、自嘲した。

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