第48話





「起き上がっても平気なんですか?」



「うん。もうすっかり治ったから」





3日ほど高熱に魘されていたせいで、無名には随分と心配をかけてしまったようだ。



その間、ずっと付き添って看病してもらっていた。



ベッドから起き上がり大丈夫だと伝えると、安心したように頷いた。








「そういえば、時雨って帰ってきてたの?」


「‥‥いえ」


「いつから?」


「ーーえっと。小夜さんが寝込む前からです」






珍しいこともあるものだ。



どんなに忙しくても絶対に帰ってくるのに、こんなに帰って来ないなんて。






「仕事?」


「ちょっと、野暮用があるみたいで‥‥」





私としては、帰ってこなくても全然構わないんだけど。







ーーどうも、とんでもない醜態を晒したような気がしてならないんだ。




喚き散らして八つ当たりをしたような‥‥そんな記憶がぼんやりとある。




でも、無名が帰って来ていないというのなら大丈夫だろう。



夢で良かったと、胸を撫で下ろして安堵した。

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