第48話
◇
「起き上がっても平気なんですか?」
「うん。もうすっかり治ったから」
3日ほど高熱に魘されていたせいで、無名には随分と心配をかけてしまったようだ。
その間、ずっと付き添って看病してもらっていた。
ベッドから起き上がり大丈夫だと伝えると、安心したように頷いた。
「そういえば、時雨って帰ってきてたの?」
「‥‥いえ」
「いつから?」
「ーーえっと。小夜さんが寝込む前からです」
珍しいこともあるものだ。
どんなに忙しくても絶対に帰ってくるのに、こんなに帰って来ないなんて。
「仕事?」
「ちょっと、野暮用があるみたいで‥‥」
私としては、帰ってこなくても全然構わないんだけど。
ーーどうも、とんでもない醜態を晒したような気がしてならないんだ。
喚き散らして八つ当たりをしたような‥‥そんな記憶がぼんやりとある。
でも、無名が帰って来ていないというのなら大丈夫だろう。
夢で良かったと、胸を撫で下ろして安堵した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます