第47話
繋がれた手を、握り締めているのは私の方だった。
「ーー嫌いっ、あんたなんて大っ嫌いよっ!」
熱に魘され続け、制御できない感情が溢れ出す。
胸ぐらを掴んで叫ぶと、今度は泣き噦ってその胸に顔をうずめる。
「‥‥どうしたんだよ」
いつもとは違う声色。
威圧するような声ではなく、静かな声だ。
「情緒不安定になるほどに辛いか?」
「‥‥」
「いつもの虚勢を張れないほどに?」
「‥‥」
まるで、幼い子を諭すような言い方だった。
「‥‥なあ、俺の名を呼べよ」
「‥‥」
「呼んだら、楽にしてやる」
「‥‥時雨」
言い終わる前に引き寄せられた体は、そのまま深く抱き込まれた。
「寝ろ」
間近で聞こえるその声に、安心感を覚える。
不意にも、泣きそうになってしまった。
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