第46話

体温は異常なまでに上がっているはずなのに、さっきから寒気が止まらない。




寒い、寒い、寒いっーー。




大袈裟だと思われるかも知れないが、凍え死にしそうなくらいに寒くて仕方がない。



縋るように伸ばしたその手は、今も昔と変わらずに虚無を掴むものだと決めつけていた。






ーーそれなのに。








「なんで‥‥いるのよ」




こんな弱り切った時に、こいつの相手なんかしたくないのに。








「ここは俺の部屋だが」


「出てってよっーー」





大嫌いだ。



自己中で独善的で、私の全てを支配する傲慢で傍若無人な男なんて。








「なら手を離せよ」




そのくせ、こうして私がいて欲しいと思う瞬間に、して欲しいと思うことを軽々と遣って退ける皮肉なヤツ。

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