第38話

「‥‥起きたか」





寝起きのせいで覇気のない掠れた声は、時雨には悪いがらしくなくて違和感が凄い。



まだ眠いのか、半分ほどしか開かれていない瞳を擦りながら瞬きを繰り返す。



その様子を見ているのと、なんだか胸のあたりがむずむずとしてくる。








「眠いの?」


「‥‥ああ、お前のせいでな」


「え?」




身に覚えがなくてポカンとした私を呆れたように一瞥すると「起きたら覚えとけよ」と言い残して眠りについてしまった。



釈然としないままその様を見た後、する事もなく時雨の隣で横になると穏やかな寝息につられるようにして熟睡した私は、本調子に戻った時雨に無理やり起こされるなり、思う存分に抱かれる羽目になったのだった。

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