第23話 稲守任三郎とダンジョン3回目
「確認が取れました。稲守様、加賀から指示は受けております。どうぞ中へ」
ゲートが開くと軍服の男性に案内され、中に入る。
「稲守様、加賀から銃火器の追加申請も来ておりますが、本日はどうされますか?」
「あー、今日は弾薬だけでお願いします」
「承知しました」
そう言うとここで待つように言われ、男性が奥にある扉へと入っていく。
数分後、3台ほどのカートが運び込まれる。
弾薬に、依頼していた採取用の瓶、それに水用の折り畳みタンク等が積まれていた。
「加賀様より、採取用の瓶が注文されていましたので、宜しければこちらもお持ちください。それと、特区研究所より採水用の軽量タンクを試作したので、時間があれば使用して頂き意見を聞かせて欲しいとの伝言を預かっております」
弾薬は前回と同様に20ゲージスラッグ弾30発、瓶を10本、タンクを2種類を受け取り、部屋へと戻り、準備を始める。
折り畳みタンクは畳まれている状態だと30cm四方程の大きさで、小さいのだが、広げると倍程の大きさになる。
しかも後付けでタイヤが付けれるようにもなっており、弾性のあるタイヤなのか少しフワフワしていた。おそらく静音性を意識したものだろう。
準備を終え、端末に今日受け取った物をメモアプリに打ち込んでいるとメッセージが届く。
『ダンジョンへの手配が完了しました。昨日と同様にタクシーを待たせておりますので、そちらに搭乗してください』
前回、前々回と同様にタクシーに乗り、3回目となるダンジョンへと入った稲守は、前回入った時に現れた新しい道の事を思い出した。
オーク部屋への道を難なく進み、入口で様子を伺うがオークの気配は無く、あるのは広い空間と左右にある最初はなかったエリアの出口だけだ。
マップを開き左右の道を予想する。
自衛隊が先に探索したエリアにも通じない為、もしかしたら何かしらの空間だけが存在すると予想した稲守は、まずは東側の道へ進む事にした。
今までのエリア道中と同様に洞窟の道が続く。
(別のエリアがやはりあるのか?)
警戒を強め、銃を構えながら進む。
これまでの道の倍程進んだ頃、次のエリアが見えてきて、エリアに入らず中を覗くと今までとは違い狭く、中央にはゲームや漫画で見た宝箱のような物が置かれていた。
(ミミックとか言わないよな?)
狭い室内、広さは5m四方といった所か。
宝箱に後ろから近づき、小突いてみる。
コンコン。
変化はない。
(・・・宝箱なんてまるでゲームじゃないか)
『そうだよ!』
「うおっ!」
『どうも、神的な奴です。それはオークを倒した君へのプレゼントさ』
(プレゼントね・・・)
魔法の事を教えてくれた手前、余り疑うと機嫌を損ねて牙を向いてくる可能性を考えた稲守は、おとなしくプレゼントを開けてみる。
宝箱の中には、またもやゲームで見たような赤い液体が入った小瓶が5本置かれていた。
『それは飲むだけで傷が治る薬なんだ、凄いだろ?』
(ポーション?)
『ポーション?君のところではそう呼ぶんだね。実はオークと戦って傷を負った人が藁をもすがる思いでここに来たら貰えるっていう感じなんだけどね。効果は骨折程度ならすぐに治るし、空腹も満たされるおまけつきさ!ちなみにオークと一人で戦って倒した人への褒美だから他の人は入れないから気を付けてね。』
(反対側の宝箱には・・・って質問はダメだったな)
『わかってるじゃない。それじゃ、頑張ってボクの所まで来てね。君みたいな人は会ってちゃんと話したいし』
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