第16話 稲守任三郎とダンジョン調査二回目③

荷物が軽くなった稲守は、岩山エリアの先、マップ上では2階層目に続く階段の手前になるエリアに行くことにした。


ゴブリンとサハギンを撃ち倒し、岩山エリアを素通りして次のエリアへと進む。


マップ上では2階層目に続く手前の分岐路の先がこの岩山エリアの次に当たるようだ。

自衛隊が探索した方のエリアメモにはゴブリン3と書かれている為、階層手前のエリアはこれまでとは違い複数の敵でると予想した稲守は、警戒を強め、いつでも撃てるようにアキュートリガーを押し込みながら、ゆっくりとエリアに侵入する。


右足の先端がエリア内に入った瞬間、エリアの奥から熊や狼などの肉を食らう動物が放つ殺気に近いものを感じると同時に大きな声がエリアに鳴り響く。


「ブモオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


見えるのは二足歩行の豚だ。身長は2mを超えるだろう。


(オークって所か・・・)


ゲームでいうところのオーク。

肌色を少し暗くしたような色の皮膚に脂肪と筋肉による天然の鎧。


そして耳がいいのか、エリアの仕様なのか、入った瞬間こちらに気付いたオークはこちらをじっと見つめるが近づいてはこない。


(警戒しているのか?)


何もせずこちらの様子を伺うだけならば好都合だと言わんばかりに、オークの頭部を狙い引き金を引く。


ドンッ


「ブモッ!?」


ガチャチャッ


次弾を装填し、オークの様子を見ると、音で反応したのかオークは両腕を曲げ盾のようにして急所である胸部と頭部を守っていた。


「ブモォ・・・」


頭部を守っていた左腕に命中、貫通はしなかったのかと頭部は無事だ。


(近づく前にまずは脚を奪う)


頭部ではなく脚、膝関節部分を狙い2連射。


ドンッ


ガチャチャッ


ドンッ


ガチャチャッ


「ブモォォォォ!!!」


守っていた胸部と頭部ではなく、脚に命中した弾丸。


オークは痛みからか自重を支えられなくなり前のめりに倒れる。


「ブ、ブモ・・・」


(俺だって死にたくないんだよ)


オークは動く片腕で頭部を守るが、容赦なくその腕を撃ち抜く、


ドンッ


ガチャチャッ


弾丸が命中し、オークは腕に力が入らなくなる。


(痛めつけてるようで嫌な気持ちになるな)


両腕、両足が使えなくなったオークは諦めたのか、頭部を守っていた腕を動かし、頭を差し出す。


(あっぱれって言うのかね)


ドンッ


頭部を撃ち抜き、オークが絶命したのを確認する為、弾倉を交換しつつ近づく。


(ダメ押しの一発でも見まいたいが帰りを考えると無駄に撃ちたくはない)


数分経っても反応がない事を確認した稲守は息を吐き切り、緊張を解く。


(ふー・・・、これなら交換用の弾倉と弾がもっと必要かね)


2階層目以降は今後どうなるのか不安に思いつつ、オークの死体を確認する。

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