第13話 稲守任三郎とダンジョン調査二回目
ダンジョンから帰還した2日後、稲守は再びダンジョンの入口に来ていた。
武器は前回と同じくハーフライフルとナイフ2本だ。
バッグには、今回の為に色々準備した物資が入っている。
担当官である加賀からは、銃火器の制限解除も下りているし、それからでも良いのではないかと提案されたが、前回のダンジョン調査に不満と未練がある稲守は加賀の提案を断り、調査の申請をしたのだ。
今回の予定は、サハギンエリアの先、そして池の水を飲んでみる、そして池で釣りをする事だ。
水は現在検査結果待ちらしいが、正直気になるものは気になる。
ダンジョン内に監視の目はないし、バレなければ問題ない。
一回目と違い、通路ではそこまで警戒せず、武器だけ構えたまま移動する。
ゴブリンエリアを抜け、サハギンエリアに辿り着く。
(さて、サハギンは一回目と同じく出てくれるかどうか)
端末を三脚に取り付け少し離れた場所に置き、録画ボタンを押す。
そして直ぐに撃てるように銃の準備をして空の薬きょうを放り込む。
チャポンと音がなり、池に沈む薬莢。
そして
ザパァン!
「キシャシャシャ!キシャ!」
ドンッ
出てきて薬莢を見せつけてる間にサハギンの頭を撃ち抜く。
(ここまで簡単だとこの先が不安になるな)
サハギンの討伐部位はまだ決まっていない為、今回はスルーだ。
その場に座り込み、バッグから今回の為に持ってきておいた釣り竿を取り出す。
(さて色々持ってきたけど多すぎたな・・・)
釣りをするにしても長時間勝負になるかもしれないので、食料に水とバッグはパンパンだ。
折り畳みバケツを広げ、池の水を入れ釣りの準備を始める。
釣り竿を伸ばし、針に練りエサを取付、池に放り込む。
(さーて何か釣れるかなー)
5分程経過した頃、竿に反応が現れる。
(お?)
ツンツンとついばむような感覚が糸を伝って稲守へと伝わる。
しかし食いつかないのか、すぐに反応が無くなる。
サハギンの死体がまだあるのを確認しつつ、再び反応があるまで待つ稲守。
(んー・・・)
10分、25分と経過した頃、突然前兆も無く大きく糸が引っ張られ竿がしなる。
(来た!)
竿を上げつつリールを回し引き上げにかかるが、急に手ごたえが無くなる。
しかし重量は感じる為逃げてはいないのだろう。
(そろそろかな)
水は透き通っており、池のふちから見れるだろうが、サハギンが釣りによって出てくる可能性を考え、回すリールの速度を落とし様子を伺う。
水面から魚のようなシルエットが見え始める。
(お、魚か?)
そのまま陸へと引き上げる。
釣れたのは見た感じは青魚だが、見たことのない種類だ。
(イワシっぽいけどなぁ・・・)
平たく細長い体に、背側は青みがかった緑色をしており、見た目は完全にイワシなのだが、イワシの3倍ほどの大きさで、腹側も白ではなく黄色になっていた。
ルアーを外し、バケツにイワシっぽい魚を入れた稲守は、モンスターに続いて釣りの検証を始める事にした。
練りエサからカエル型のルアーに付け替え、再び池に向かって竿を振る。
このルアーは水面に浮き、手足が動くようになっているタイプだ。
視界の端にあるサハギンの死体に変化が無い事を確認しつつリールを回してルアーを回収しては池に放り込むを繰り返す。
すると、前回の時はどれほどまっても消えなかったサハギンの死体が、地面に吸い込まれるのが見えた
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