第11話 稲守任三郎と初報告②
「こちらへ」
ホテルに着いた途端、待機していた軍服を着た男性達に護衛をされながらホテルの地下室へと連れてかれる。
バイオハザードマークの書かれた扉を通り、ダンジョン庁舎を思わせる両脇に並ぶ個室と通路。
その中の一つの部屋に案内された。
「それでは稲守様、こちらに討伐されたモンスターの討伐証明を置いてください」
部屋の中には机が一つ、椅子が三つ、そしてモンスターの素材を運ぶ為か数台のカート、机にはトレーらしきものが何個かおかれていた。
稲守は言われた通り、ダンジョンから持ち帰ったゴブリンの耳4つ、サハギンのヒレ、水掻き付きの手、池の水と周辺の土と草をそれぞれトレーに並べる。
「こちらがゴブリンの耳、これが魚人、ゲームとかで言う所のサハギンのヒレと手、後はサハギンがいた池の水と周辺の土と草をとってきました」
「稲守様、サハギンとは?」
「あ、端末で一応写真と動画を記録しているので・・・」
「端末をこちらへ」
加賀と軍服を着た男性達が食い入るように動画を見る。
『キシャシャシャ!キシャ!』
「稲守様このモンスターは何をしているのです?」
サハギンが何かを手に掴み、見せつけるような動作をしていた。
「サハギンは池に異物を放り込まれるとこうしてわざわざ取りにいって見せつけるんです。多分この時はエナジーバーの袋ゴミですね。この状態の時、こちらがアクションを起こさなければ、この動作を続けるので、銃を構えていればこの通り」
ドンっ
稲守が撃った弾丸がサハギンの頭部を貫き、絶命、前のめりに倒れ込むサハギン。
それと同時に漏れる歓声。
「「「おおー・・・」」」
その後、永遠とサハギンの死体を写すだけで何も起きない。
「稲守様、サハギン?を倒してから何を?」
「報告書に後で書きますが、モンスターの検証の為にサハギンの死体を観察していました」
「観察・・・稲守様、ひとまず、これらのダンジョンから持ち出したものは預かってもよろしいですか?」
「えぇもちろんです」
「ありがとうございます。報酬につきましては後日端末に通知が届きますので、そちらをご確認ください」
「わかりました。報告書に期限はありますか?」
「初回なので早めの報告を頂けますか?次回以降は翌週を目途に送信お願いします。また、今後ダンジョン探索をする際は端末内にあるアプリで申請して頂ければ対応します。ダンジョンから帰還する際は、今回と同じように私に一報ください」
「わかりました」
「それでは本日は本当にお疲れ様でした。ご帰宅なさるのでしたらご案内します。ここに泊まるのであれば手続きしますが」
少し悩む稲守。
今回使った瓶等は全部私物の為、ここで手に入るかは疑問だが、手配すれば問題ないと判断し、ここに泊まる事にした。
「今日はここに泊まります。もしかしたらまた明日ダンジョンに行くかもしれないので、その時は申請します」
「承知しました」
その後は解散となり、以前泊まった部屋と同じ部屋に案内され、一息つく稲守。
「ふー・・・そうだ報告書」
端末と一緒に渡されたクレードルとキーボード、マウスを机に広げ、ゴブリンとサハギンの情報をワードアプリを開き打ち込んでいく。
「そういえば渡し損ねたこれどうするかな・・・」
机には非常用に採取していたサハギンがいた池の水が入った小瓶が置かれていた。
「・・・次の探索が終わった時でいいか」
鞄に小瓶をしまい、報告書の作成を中断し、タバコ休憩をする事にした。
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