第10話 稲守任三郎と初報告①
ダンジョンの入口にたどり着いた稲守は、閉じられている扉の前に立ち尽くしていた。
(これどうすんだよ・・・)
とりあえず、インターホン的なものは無いか周囲を探しても何もない。
(そうだここなら携帯端末の電波届くのでは?)
携帯端末を取り出し、アプリ一覧から電話機能を取り出し、担当者と書かれた番号へと電話をかける。
プルルル。
『稲守様!?今何処にいらっしゃるのですか!?』
「うぉっ!!」
大きな声で話しかけられびっくりする稲守。
「えっと、今ダンジョンの入口で閉まってる扉の前にいるのですが・・・」
『わかりました!直ぐに行きます!』
ツーツーツー・・。
「なんなんだ一体・・・」
体感的には1日も立って居ない筈だが担当者の慌てぶりからして少し嫌な予感がした。
数分後、扉が開き、外から担当者の加賀と見慣れた軍服を来た2名が出迎えた。
「ご帰還お待ちしておりました。まずはこちらへ」
「え?あぁ、はい」
急かすようにタクシーではなくて政府が手配したであろうオフロード車に乗せられ、何処かへと移動する。
「稲守様、あなたの様子から気づいてはいないようですので、状況を説明します。あなたは2056年11月25日にダンジョンへ入られました。そして、今日の日付ですが、11月27日になります」
「なんだって?」
「端末の日付を確認してください。自動更新されている筈です」
言われた通り、携帯端末を開くと、先ほどまで11月26日と記載されていた時計は11月27日の表示がされていた。
「本当だ、一体どういうことなんだ?」
「まず、稲守様の持っている端末をこちらに。端末の情報で何かわかるかもしれません」
携帯端末を加賀に渡すと持っているタブレットに繋ぎ、何か情報を見始める加賀。
「・・・なるほど、原因がわかりました。稲守様にお渡しした端末は現行品の中でも最新機種になります。恐らく電波の届かない状況が続くと日付を更新できないようになっていたようです」
「・・・」
だとしても稲守としては数時間もいない筈。
だから日付は11月26日になっている筈だった。
「まず、報告書の作成をお願いします。もしかしたらその中に時間の齟齬の原因があるかもしれません」
「わかりました」
稲守としても不思議な状況だが、持っている荷物の中にあるモンスターの一部について聞く事にした。
「そういえば、モンスターの身体の一部を持ち帰ったのですが、それはどちらに・・・」
「え!?討伐されたのですか!?」
「本当ですか!?」
驚く加賀と、運転手の軍服の男性。
「え?あぁ、はい」
「佐々木さん!急いで!」
「了解!」
車が急に方向転換し、ダンジョンへ入る前日に泊まったホテルへと向かった。
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