第2話 ダンジョンの出現
2056年7月2日。
突如、世界各地に地震やハリケーン、豪雨などの異常気象が発生、それが収まると同時に様々な建造物や構造物が出現した。
各国は軍を派遣し、調査を行った所、それは創作物に出てくるようなダンジョンと呼ばれる物に酷似していたのだ。
場所によっては一瞬にして塔が出現し、闘技場が現れ、漫画やアニメで見るような取っ手付けたような洞窟といったものだ。
さらに、国毎にその土地に生まれた人間しか入れず、国籍が無いと周囲約10kmから近づく事すらできなかった。
とある国では別国の人間が範囲に入った瞬間倒れ、死亡した事例もある。
日本政府は自衛隊を派遣し調査を行うが、全国に出現した建造物の調査を行うには、圧倒的に人手が不足している事は火を見るよりも明らかだった為、とある法律を作った。
徴兵制調査員任命法と呼ばれるものだ。
親族や配偶者がいない人、定職についていない人、派遣会社に登録していない人、その他さまざまな条件を元に選出。
報酬を支払う事、その他特別待遇を条件に調査員として働いてもらうという物だった。
制度が制定されてから4か月が経ち、第一期調査員任命書が選出された人の家に届く。
第一期ダンジョン調査員任命書。
これが届けられた者は、3日以内に各県に設置されたダンジョン庁支部へ行かなければならない。
趣味の狩猟から帰宅し、次のアルバイト先の事を考えていた矢先、家のインターホンが鳴ったかと思ったら、政府の人間が赤い色の封筒を手渡してきたのだ。
中には何枚か紙が入っており、封筒を受け取る相手の情報と調査員になる為の案内が入っていた。
調査員任命書
稲守 任三郎
本住所 千葉県 ○○市○5599-5
男性 独身
年齢 33歳
親族 なし 配偶者 なし
職業 アルバイト
資格 剣道四段、わな猟免許、第一種銃猟免許
ダンジョン庁 千葉県千葉市美浜区〇〇ー〇〇ー〇〇
本冊子を受け取った三日後までに、上記住所へお越しください。
下記を必ず持参するようお願いします。
・電子端末(携帯電話、スマートフォン、PC)
※所持しているものが持ち運べない場合は、来館時にお伝えください。
・身分証明書(顔写真付きに限る)
・本書
「・・・仕方ねぇか・・・報酬もでかいって話だし・・・。拒否するにも理由も無いし・・・」
元々趣味の狩猟と、筋トレぐらいで友人も少なく、仕事も日雇いのアルバイトと役所から依頼される害獣駆除で生活している身だ。
昔に着てから袖を通していないスーツを引っ張り出し、身分証明書や財布を持ち、ダンジョン庁千葉支部庁舎へと向かった。
ダンジョン庁は各都道府県に配置され、その地域の調査員や、ダンジョン調査に関わる公務員が在籍している。
「でっか・・・」
50階はあるであろう建物の前で、稲守は建物を見上げる。
入口へと目線へ戻し、案内に書かれていた通り、入口右側にあるカードリーダーへと同封されていたIDカードをかざす。
案内によると扉は開いても中には入らず、入口で待たないといけないそうだ。
自動扉が開くと、中から軍服を着た男女が出てきた。
「稲守任三郎様ですね。IDカードと身分証明書の提示をお願いします」
「はい」
運転免許証を女性に手渡すと、右側にいる男性がレジのリーダーのような物を取り出し、運転免許証とIDカードをスキャンし始めた。
「稲守任三郎様、本人で間違いありません」
持っている端末を見て、男性が言う。
続けて女性に促されるまま、俺は建物の内部へと入っていった。
「では、稲守様、こちらへどうぞ」
「はい」
内部は狭い通路と両脇にある扉、そして奥にあるエレベーターのみで、大きな建物に似つかわしくない感じだ。
エレベーターに入り、女性が無線機で何か指示を出すと、ボタンも押していないのに動き出す。エレベーターの階数表示を眺めていると、ボタンに書かれている最上階25階を優に超え、30階、40階と数字が増えていく。
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