四編 マスク·ロマネスク
ここのところ文化祭の準備で忙しかった。
今年は初めてお化け屋敷というものをやるのだ。
お化け屋敷なんて最後に行ったのはもう五年程前だろうか?
最後に行ったのは確か「日光江戸村」という村内にあった「地獄寺(合ってたかな?)」というお化け屋敷。
僕の記憶にあるお化け屋敷で一番怖かった。
ただ、今回は個人的には怖さだけを求めるのではなく、クオリティを求めたかったためにアートワーク、飾りに関しては中心的(というかほぼ僕のみ)に行った。
友人が被るマスクに血の涙を入れてみたりした。
これが実に上手くいった。練習もなしに初めてやったが、人型二作は申し分の無い怖さだと思う。
そういえば、準備中に幾度か見知らぬ女の子が来た。
体操服姿で名前欄にごてーねーに「吉川 桃子」と書いてあった。
「桃子」は来る度に「あなたって想像力ないのね。いつも結局基礎的な物ができちゃう。」と僕に言ってきた。
そりゃ僕だってもっと好きなように作りたい。
だが準備期間も参加出来る人も少ないんだから叶わない。
それに奇抜にした所でお化け屋敷として機能しなければ意味が無い。
だから毎回「機能性重視なんだよ。」と言うが、その時にはもう彼女はいなくなっている。
「桃子」はどこから来て、どこへ行くのだろうか。
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