五編 赤いジャーマンスープレックス

今日は諸用で赤坂まで行ってきた。

赤坂という町は以前、紅睡蓮のライブで行ったきりだ。

そのライブが第一期のお別れ会だった。記憶が正しければそこに前キーボード担当のジュードはおらず、ショルキーを背負った女の子がノイズを奏でていた。

何故かその娘を見たと言っているのはぼくだけなのだ。当時のメンバー曰く、その日は四人体制(普段は五人)で、キーボードは不在だったそうだ。

あのポニーテールのイケてる女の子は誰だったのだろうか?

でも確かにあの日見たんだ。

黄色いジャケットにジーンズが似合うポニーテールの娘を!

夢ではない。事実なのだ!文化祭準備時に見たあの娘なのだ!

そうか彼女とはそこから面識があるのか!いや、もしかしたらもっと前から知っていたのかもしれない!

これはそうだ、意外と知られていない娘ととあるバンドをやっている男の冴えない話なのかもしれない。

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