リベンジチョコレート

第19話

チョコレートって恋に似てるよね?

 溶けたら一瞬で終わる。そして、あとには何も残らない。

 ★ ★ ☆

 五年目のホワイトデーのあの日。

 私は、紘くんが自分にキスしてくれた事があまりにも嬉しくて、彼と別れたあと友人である杏に興奮が冷めない内に電話を掛けた。

 すると、杏は、間を置かずに電話にすぐ出てくれた。

 けれど、なにかをしているのか、それとも誰かと一緒に居るのか、電話口にまで音が聴こえてくる。

(もしかして、バイト中だった?)

 杏は、学費と生活費を稼ぐ為にバイトをしている。

 私は、実家から学校に通っているので、学費も親が払ってくれている。なのでバイトも、お金が必要な時に短期バイトをするぐらい。

 電話したのに、私が話もせずに黙り込んでいるもんだから、杏の方から自分に話し掛けてきた。

『苺、藍住くんとデート中じゃあないの?』

『紘くんとならさっき別れた。杏、もしかしてバイト中だった?』

 私が、そう伝えると電話口から、ため息が聞こえてきた。

『今日、バイト休みだけど……苺、まさか思うけど……用事ってそれ?』

『違う!?』

 大きな声で電話口に違うと叫ぶ。

 その声に、杏は一瞬言葉をなくす。

 そして、しばらくして電話口から杏の声が聞えてきた。

『……ごめん。そうだよね』

 その一言だけ話して、また無言になる。

 私は、電話口で自分が悪いのに謝ってきた杏にすぐさま謝った。

『杏は、悪くないよ。私こそごめん。急に大きな声出して』

 すると、杏は大きなため息をついた後、電話口が笑い声が聞こえてくる。

『もう。苺、私が黙り込んだだけでしんみりしないでよ。で、本当の用事は?』

 要件を早く話せと杏に催促されたので、私は正直に答えた。

 でも、これが彼女を傷つける事になるなんて。

 私は、思いもしなかった。

 私は、ただ一緒に喜んで欲しかっただけなのに。

 ☆ ☆ ☆

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