初恋チョコ
第18話
「ありがとう。紘くん開けていい?」
「いいよ。きっと、びっくりすると思うよ」
ニヤニヤしながら、紘くんがバレンタインのお返しを渡してきた。
だけど、なんでびっくりするんだろう?
不思議に思いながら、紘くんがくれた苺柄の箱を開ける。
※彼がお返しをいれる箱に使っている柄は、毎年、私の名前の苺にちなんで苺柄を使ってくれている。
「!? 紘くん」
箱の中に入っていたのは、チョコで負けないからと書かれたホワイトクッキーだった。
「驚いた? 苺がバレンタインに手作りチョコをくれたから、僕も、頑張ってホワイトクッキー作ってみたんだ。苺の手作りチョコ、本当に美味しかったから。メッセージは僕からの宣戦布告。苺、負けないよ。僕のクッキーも美味しんだから」
私の為に作って渡したクッキーを私が食べる前に、箱から一枚取って、自分の顔の前に持って行き、私にメッセージをドーンと見せる。
そんな紘くんの行動に、私は堪らず、笑ってしまう。
「もう、紘くん。私の為に作ってくれたんでしょ? まさか、自分で食べるの?」
(……そんな訳ないだろ)
「えっ! 紘くんなに……」
紘くんの声があまりにも小さすぎて何を言ってるのかわからなかったので、訊きなおそうとしたら彼が、私にキスをしてきた。
突然の出来事に何が起こったのか分からない。
いままで、紘くんにキスされた事なんてない。
だから、これが紘くんとの初めてのキス。
でも、なんでこのタイミング?
「……苺。僕の作ったクッキーは美味しかった?」
紘くんからの初めてのキスに戸惑いながらも、嬉しかったのにキスした本人の軽い態度に、嬉しい気持ちが怒りに変わっていく。
「……美味しくなんかない。紘くんのばか!」
私は、紘くんを突き飛ばしてその場から走り出した。
(この気持ち、私どうすればいいの?)
私は、涙を頑張って抑え込みながら走り続けた。
けれど、私の思いとは、裏腹に紘くんに後ろから抱きしめられるように捕まってしまった。
「苺。ごめん」
紘くんが私を抱きしめたまま、さっきの事を謝ってきた。
けれど、紘くんはどうして突き飛ばされたのか分かっていない。
「なんで突き飛ばされたのか、解っていない人に謝られても嬉しくない」
私は、強引に紘くんから離れて、彼の方を振りかえて泣き顔を見せる。
(紘くんもこれなら、気づくよね?)
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