チョコとマシュマロ

第14話

関係が戻ったいまだから、つい頭に浮かんだ。

{if もし、時間が戻るなら戻したい}

 一年前のあの日。

 二月一四日は、私の誕生日でバレンタインデー。そして、高校一年から付き合ってる古村瑞樹に突然別れを告げられた最悪な日。

 瑞樹との出会いは、中学三年の二月。高校受験の終わりのバス停。

 私は、自分の夢を叶えるため、都会の高校に進学した。

 受験当日、他の学校の生徒がお互いに『頑張ろうねぇ』って言ってる中、私は一人で受験に挑んだ。

 だから私は、終わったら速攻帰るつもりだった。居たくなかった。

 けれど、学校を出て、五十メートル歩いた所にあるバス停で一人の男性がバスを待っていた。

 その瞬間、自分でも何故かわからないけど、その男性に近づき、声を掛けた。いま考えると、きっと話し相手が欲しかったんだと思う。

 でも、その時バス停に居た男性が瑞樹で良かった。本人は、絶対言わないけど。

 そんな偶然で出会った私と瑞樹。あの時は、恋人になるなんて思わなかった。

 だって、あの時は、もし合格した時に、一人でも知り合いがいれば、きっと楽しいかな? ってほとんど私の独り言に近かった。なのに、瑞樹ははっきり覚えていた。 あの出会いから二月後、入学式で再会した私と瑞樹。そして、瑞樹からの告白で恋人になった。

 {ここで、最初のif。もし、瑞樹に私が告白するべきだったの?}

 付き合って最初の二月十四日。私の誕生日だけど、バレンタインデーだから、瑞樹に手作りチョコを渡そうと思ったけど、実は私、料理は、得意な方だけど、お菓子作りはダメなんです。

 瑞樹には、「ごめん」と最初に謝って、店で買ったミルクチョコレートのクッキーを渡した。

 すると、彼は、「おいしい」と食べてくれて、逆に「気にしないで」と言ったくれた。

 それに、甘えて二年目も同じチョコを渡した。

 {ここで、二回目のif。 やっぱり手作りチョコよかった?}

 そして、三年の二月十四日。

 {最後のif。 瑞樹から別れを告げれた時、頑張って作った手作りチョコを出していたら。私も、何でとか反発すれば良かった}

 ホント、時間返してよ。瑞樹の馬鹿。

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