第12話

「……瑞樹君?」

「えっ?」

 偶然立ち寄ったデパートで突然声を掛けられる。

「やっぱり瑞樹だ!」

 後ろを振り向くと白いワンピースを着た苺が立っていた。

「苺ちゃん!」

「珍しいですね? 瑞希くんとこんな所で会うなんて。瑞樹君もお買い物ですか?」

 苺は、大きな袋を2個持ながら瑞樹を見ている。

「そうなんだ。ちょっとこのあたりに用事があって」

「そうなんですか。私は、彼と一緒にホワイトデーの買い物に」

「苺ちゃん恋人居るんだ」

 瑞樹が聞くと、苺が逆に尋ねる。

「瑞樹君は、居ないんですか? 恋人。かっこいいのに」

「いないかなぁ」

「えっ! もったいない。あぁ! 杏も恋人いないんですよ。あんなにかわいいのに」

「えっ! 苺ちゃんこの前?」

「瑞樹君、あれ信じたんですか?」

「苺ちゃん!?」

 苺は、瑞樹があの電話を信じ、いまの発言で戸惑ったと確信し、笑いながら本当の事を話す。

「杏、瑞樹君と別れたあと、全然恋人を作ろうとしないんです」

「苺ちゃんごめん。俺行くね」

 いきなり走り出す瑞樹。

(頑張って瑞樹君)

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