第3話

テーブルの上に並ぶ夕飯の材料とミルクチョコのクッキー。

 今日の夕飯は、ミートパスタとポテトサラダ。

「苺の馬鹿。どうして、今更、瑞樹の事……」

 古村瑞樹。杏の元恋人。

 彼とは、高校時代から一年前の二月十三日まで交際し、十四日の朝に別れを告げれらた。

 そして、二月十四日は杏の誕生日。

 二月十四日に、毎年渡していたこのミルクチョコのクッキーこそ、杏がさっき苺に対して好きって言ったあのチョコ。

 杏は、料理は得意な方だが、お菓子作りだけは苦手。

 だから、チョコは店で買ってものあげていた。

 このチョコは、初めてのバレンタインデーの時、彼がおいしいって言ってくれた思い出のチョコ。

 けど、一年前は、練習して彼の為に、手作りチョコを作った。結局十四日に別れたから粉々に崩して泣きながら食べた。

 チョコに罪は、無いから。

「いただきます。そして、さようなら」

 わたしは、夕飯と元恋人がおいしいと言ってくれたチョコを食べ始めた。

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