第14話

20時半 神林栞 自宅 402号室(4階)

「ただいま」

 一人で自宅マンションに帰ってきた栞。

 栞が恋人の遠藤匠と同棲している「rose」から徒歩30分。

 最寄り駅である「華水」からは15分の所にある。

 そして、栞が住んでいるマンションは、オートロックの為、住人以外勝手に中に入ることは出来ない。

 つまり、來未が栞のマンションに入るには、栞か匠のどっちらかと一緒に中に入らなければならない。

「栞おかえり……あれ? 來未ちゃんは?」

 キッチンで、來未を含めた3人分の夕飯を作っていた遠藤匠(黒い腰つきエプロン姿)は、玄関から聴こえてきた栞の声に、料理の手とガスコンロの火を一旦止めて、キッチンから顔を出す。

 でも、すぐさま來未がいないことに気がつく。

「……來未なんて知らない。私、着替えてくるねぇ?」

 そう匠に告げると、それ以上は何も告げずに自分の部屋に行ってしまった。

「えっ? ちょっと栞!」

 予想外の出来事に、一人残された匠は呆然とするしかなかった。

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