第82話

「そのまさかです」

「ッすすすすみませんでした! あの頃は、私、昴くん達に起こっていることなに一つ知らなくて」

 西條侑李のまさかの正体に、灯は、深々と頭を下げる。

「……灯さん。頭を上げて下さい」

「……西條さん?」

「確かに、あのころの彼ら……いやぁ? 泉石渚は、親友で相棒だった昴くんにもなにも告げずに、自分独りで罪を背負った」

「……」

 そう、渚くんが4年前、自分一人で罪を背負ったのは、昴くんいやぁ? 美緒さんを護る為。

 だからこそ、渚くんは、独りで罪を背負った。

「だけど、そんな渚が、自分が犯してしまった罪のせいで、自分の大切な親友(昴)が、灯さん。貴女と離れ離れになったしまったことに、あいつはいま、大きなショックを受けているんです」

「えっ?」

 侑李からの告白に灯は驚く。

「渚は、自分が犯してしまった罪のせいで、自分の大切な人が不幸になるだけことは望んでいません。だからこそ、独りで罪を背負ったんです。自分の大切な人にはいつでも笑っていた欲しい。罰を受けるのは、自分だけでいい。自分は、それだけのことをしてしまったのだから。だから、もし、灯さんがまだ昴のことを愛しているのなら、あいつのことを許してやって欲しいと」

「……渚くん」

 渚からのお願いに、灯の目から涙が零れる。

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