第56話
「ただいま」
渋谷咲が、ルームメイトで、恋人でもある
キッチンで、二人分の夕飯を作っていた陽太が、咲の声に気づきキッチンから顔を出す。
「咲ちゃん! おかえり! 遅かったね?」
「急に会議が入って? ごめん陽太さん。いつも家のこと任せきりで」
「そんなの気にしなくていいの? 俺が、好きでやってるんだから」
「……うん」
陽太は、建築会社の事務員として働いている。
余程の事がない限り、定時に仕事が終わるので基本に陽太が家の家事をやってる。
渋谷も、仕事が休みの時や早く帰れた時などは、陽太と一緒に料理を作ったりしている。
それでも、恋人である陽太に頼りぱなしになってしまうことが多い。
「咲ちゃんはさぁ? 俺のこと嫌い?」
いつの間にか、自分のすぐ目の前に来ていた陽太。
「嫌いな訳ないじゃあん! でも……」
次の言葉が出てこない。
いやぁ? 言えない。
だって……
『……貴女のお父さん。不倫されたんですよね? それも、貴方の小学生の頃? 貴女の担任の先生と?』
「咲ちゃん!」
深緑のエプロン姿の陽太が、咲の事を真っ正面から突然抱きしめる。
「よよよ陽太さん!」
「咲ちゃん! 俺と結婚してください!」
「……はい」
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