第37話

雫丘出版 黒蝶編集部 15時30分

※全員、外に出ているのか、編集部には百花と堂城の二人しかいない。

「先輩! うちのコーヒーは、とくに熱いので火傷しないでしないで下さいねぇ?」

 白い湯気が立ってホットコーヒーを堂城に差し出す百花。

「誰に、向かって言ってるだよ!」

「ふふふ。そうでしたねぇ? そう言えば、死神先輩は、猫舌でしたねぇ?」

「おい! なんで、俺が猫舌なんだよ! 猫舌のは、水川だろう! それも超がつくほどの」

「はぁはぁぁはぁ」

 急に笑い出す百花。

「なに! 笑ってんだよ!」

「あっ! すみません!。つい昔の事を思い出して。それに……」

「……百花?」

 話しの途中で黙り込んでしまった百花の名前を左手でコーヒーカップを持ったまま覗き込む。

「いやぁ」

 堂城を振り払った瞬間、彼が左手に持っていたコーヒーカップからコーヒーが零れ、百花の左手に直撃する。

「あっち!」

「百花!」

 堂城は、百花の右手を掴むと、そのままま給湯室が隣の休憩室まで彼女を連れて行った。

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