第56話
「いらっしゃいませ!」
「えっ!」
若草樹里は、昨日永輝に告白しにいかなかった。
きっと、あの人の言う通り、昨日は永輝さんの誕生日だったんだと思う。
けど…あの人は、私達しか知りえない、あの日の私達の出会い、おろか、一生の愛を誓い合い、お互いの唇を重ねあった熱いキスと熱い抱擁、そして、私が、永輝さんに送った言葉の一言一言を間違える事なく耳元で囁いてきた。
それも、私が、永輝さんに襲い掛かるように囁いた言葉。
貴方は、一体何者?
貴方は、私と永輝さんの何を知っているの?
そして、貴方が去り際に囁いた意味深な囁き。
【略奪は、甘い蜜の誘惑。そして、その誘惑からは誰も逃れられない。例え、それが偽りのキスだとしても】
私は、そんなの信じない。
だって私の唇、体、心は、貴方の熱、感触、吐息まで、昨日事のように覚えてる。
永輝さん。今すぐ、貴方に触れたい。
そして、私のこの不安をかき消して。
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