第57話
「……お客様?」
「…すみません! あの? ここは?」
考え事をしていた樹里は、いつの間にか駅とは逆方向の路地裏に入り込んでいた。
「ここは、フラワーショップ:ホワイトです。よかったら、これ飲まれませんか? 気持ちが落ち着きますよ?」
「あぁありがとうございます」
樹里が、店員と思われる髪の長い女性から、レモンティーを受け取りながら、周りを見回すと、確かに色とりどりの花が置かれていた。
「滝川さん。お客様を困らせてはいけませんよ?」
「昴さん! ごめんなさい」
「それに滝川さん。貴方もお客様ですよ」
「…はい」
店の奥から眼鏡を掛けた黒髪の男性が、自分にレモンティーを出してくれた女性に薔薇の花束を注意しながら渡す。
(自分にレモンティーを差し出してくれたこの女性とどういう関係?)
樹里がそんな事を考えていると、昴と呼ばれた男性がそのまま自分の前に立って居た。
そして、驚く樹里を無視して、そのまま左手を持ち上げると手の甲にキスを落とした。
「!?」
「お客様が、余りにもお美しい方だったので」
「わぁわぁわわぁぁ…」
突然の手の甲へのキスに樹里は、何も言え、思考が停止が止まってしまった。
その様子を隣で見ていた滝川も昴の突然のキスに同じく思考が停止してしまった。
★★
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます