第38話

『堂城さんも七瀬龍治と同じですね? 貴方は、南浜樹利亜を奪った七瀬龍治を恨んで彼らと距離を取ったんですよね? でも、貴方は、樹利亜さんの貴方への純粋な恋心を踏み潰しただけではなく、彼女自身を侮辱した。堂城さん。貴方の方が、誰がどう見ても男として最低だと思いますけど』 

「俺は悪くない!」

「わぁ! 堂城先輩! 急に大きな声出さないで下さいよ」

「あぁ! すまない」

 樹利亜の事を訊かれて逃げてしまった堂城を捕獲し、謝罪会場に戻ってきた二人。

 いまの堂城の叫び声に彼らの周りに居た数名の記者が何事かと二人の事を見詰めてきた。

 滝川は、すぐさま頭を下げた。

「すみません。なんでもありません」

 そして、堂城の頭を持っていたノートで叩いた。

「先輩! 恥ずかしいのでしっかりしてください」

 叩かれながら、堂城は口に出さなかった心の中で……お前のせいだと呟いた。

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