第35話

「…先輩。堂城先輩! 起きて下さい!」  

「…樹利亜?」

「堂城先輩? 樹利亜って誰ですか?」

 自分の名前を呼んでいたのは、樹利亜ではなく…

「…滝川? なんでお前が、俺の名前を」

「先輩、大丈夫ですか? ボケるにはまだ早いですよ?」

 名前を間違えれらた上、どうしてここに居るのかと言われてしまった滝川は、堂城のほっぺを両端からおもいっきり引っ張る。

「…痛い!」

「先輩! 謝罪は、泉ちゃんのサインでいいですよ」

 痛がる堂城見ながら、満面の笑みを浮かべる滝川。

「…」

 滝川につままれた頬を両手で抑えながら、彼女の口から飛び出した人物を心の中で復唱する。

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