第28話
「七瀬。お前あいつらの仲間なんだろう? お前の目的はなんだ!」
堂城は、自分の隣で驚くこともなく無表情な七瀬龍治の胸蔵の掴み壁に押し付ける。
「…俺は、捨て駒だ!」
「…それって」
七瀬の言葉に掴んでいた手が…
「あぁ! 泉石渚と鳴海坂昴は…」
「…七瀬様。堂城様。お待たせしてすみませんでした。晩餐会の準備ができましたのでこっちらへどうぞ」
「!?」
そこに立って居たのは、満面の笑みでこっちらに向かって頭を下げる泉石渚。その彼に立つ同じく笑顔で自分達を手招きする鳴海坂昴。
「わたくしの顔になにか付いてますか? 堂城誠也様?」
いつの間にか自分達に頭を下げていたはずの渚が、堂城の顔を見降ろしていた。
「…」
その顔はまるで悪魔の顔。
「昴! 七瀬様を先にお席にご案内して。僕は、堂城様と雑談してお連れするから」
「おい!」
堂城は昴の腕を掴む。
けれど昴はそれを払い除けた。
「…では七瀬様。わたくし達は先に参りましょうか?」
堂城の手を払ったその手で、七瀬の左手を優しく握る。
けれど、その手は七瀬の手だけではなく彼の感情まで掴んでいた。
その証拠に七瀬は、昴の手を振り払う事ができなかった。
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