第24話

あの日の渚さんは、私が、もう一度恋に踏み出せるように優しく背中を押してくれた。

 そして、私の背中を押す為に自分の過去の後悔まで打ち明けてくれた。

 それは、渚さんにとって一番他人に知られたくない過去の恋愛の話。

「…俺は、鳴海坂昴ほど、あいつをそこまで詳しくは知らない。でもなぁ、滝川。あいつは、自分の正義に絶対の自信を持ってる。それだけは誰が相手だろうと絶対に屈したりしない。それはこの俺が保証する。なんたってあいつは…いやぁ、この話はまた今度話す。だから春ちゃんも自分の心を信じればいいの」

 _ぺシ_

 いつの間にか、オネェ言葉に戻った堂城が、滝川のおでこを指で叩く。

「堂城先輩!? いきなり何するんですか?」

 叩かれたおでこを両手で抑える。

「…春ちゃんは、後先考えずに昴君に自分の気持ちを伝えればいいの! 渚ちゃんは、貴方に心配されるほどか弱くないわよ!」

「堂城先輩!」

「抱きつくな! 暑苦しい!」

 滝川は、場所が文彦和也の謝罪会見の場なのを忘れて堂城誠也に周りを気にせず抱きついた。

「私、昴さんに告白します!」

「…滝川! 振られた時は、俺が面倒見てやるよ! 」

「絶対嫌です!」

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