第14話

杏奈は、渚が事務所から居なくなった瞬間大きなため息をつく。

「先輩。まさか、柿谷課長との関係知ってる? ないない。そんな訳ない」

 杏奈は、大きく首を振る。

 課長との関係を泉石先輩が知ってる訳ない。

 でも、あの口調……まさか。

「あぁ! そうだ! 先輩がくれたお菓子食べよう」

 杏奈は、気持ちを抑え込むために、渚がくれたお菓子を食べようと、包装紙に手を掛けようとした瞬間…… 

<霧矢さんキスは、私を熱く、心まで溶かしていく。そうまるで、禁断の果実をたっぷり詰め込んだ甘いプリン>

「……なにこれ?」

 包装紙に入っていたのは、2種類のプリン。商品名は、まさかの贅沢に食べ比べまろやかプリン。

 そして、肝心な味は、恋する乙女の苺練乳味と禁断の不倫に走った乙女のビターチョコ味。

(……先輩! あなたは一体、何を知っているんですか?)

 杏奈は、自分達しか知らない情報を知っている渚へ恐怖を感じ始めた。 

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