第10話
『……探偵になれば、彼女を……美緒さんを見つけられると思ったんだ。笑えるだろ? 探し当てた彼女には他の男が居て、その男もその男で他の女に妻が居るのに関わらず結婚を申し込んでるときた』
『……』
『……昴、笑えよ! むしろお前ぐらい笑ってくれないと辛い』
『……本当……我儘な友人を持つと……体が幾つあっても足りないなぁ』
『悪かったなぁ。我儘な友人で。しょうがないだろ? 排除しても排除してもドンドン敵は出てくるし、中々彼女は自分の者にならないし』
インカム越しに顔を上げると、さっきまで窓越しでナポリタンを食べていたはずの渚が、会計表を手にこっちに向かって歩いて来ていた。
『渚!』
インカム越しに、慌てて渚の名前を叫ぶ。
昴は、注文したビーフシチューを全部食べきていない。
それどころか、渚との会話と文彦和也の謝罪会見に集中していて、ほとんど口にしていない。
『悪い昴! 後輩に呼び出されたからじゃあ』
『ちょっと渚!』
渚が、昴の足元に何かを落としていった。
「お会計お願いします」
渚は、昴が拾い始めたのを確認してから、近くに居た店員に声を掛けた。
「すぐにお伺いします。レジでお持ちください」
「解りました」
渚は、店員に笑顔で返事を返し、レジに向かって歩き始めた。
「ありがとうございました。お会計900円になります」
財布から900円を取り出す。
「900円ちょうどですね。ありがとうございました」
店員からレシートを受け取りカフェをあとにし、。その足で、ある場所へ歩を進め始めた。
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