第41話
「…すみません。上司まで連絡して頂いて」
私は、会社までタクシーで送ってくれるという榎本さんの誘いを断った。
それどころか、連絡ができていなかった自分に変わって、水川編集長に電話して、私が事故に巻き込まれた事を自分に代わりに話してくれたていた。
「いえ? それに…今回の事は、僕にも責任もありますから」
「何言っているんですか! 琢馬さんは悪くありません。悪いのは…」
悪いのは…周りをよく見ていなかった自分。
「百花さん。貴女に、怪我がなくてなくて本当によかった」
「琢馬さん…」
榎本の優しさ言葉に、私は、それ以上なにも言い返さすことができなくなった。
でも…
「…でも、悠君とは、連絡つかないんですよ? 今も」
「そそそれは…でも、それは百花さんのせいではないですよ?」
榎本が、水川に連絡を入れた時、今村敦の緊急逮捕と悠君と連絡がつかない事を教えて貰った。
そして、そのことを今さっき、榎本から教えて貰った。
「ででででも…私が事故にさえ巻き込まれなければ…悠君が」
私が、あの事故にさえ巻き込まれなければ、悠君が事件に巻き込まれる事も。行方不明になる事も。
全部、私が悪いんだ! 私が…私が…
「百花さん!」
「琢馬さん! 離してください! 周りに人が」
涙を流し始めた榎本がギュウと抱きしめる。
二人の周りを歩いていた人二人の事を横目にみていく。
だけど、榎本はそんな事を気にすることなく百花をギュウと抱きしめる。
「きっと見つかります」
「…はい」
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