第21話
14時15分。(会社から今村敦の事務所までは、歩いて30分
悠が、今村敦の事務所から逃げ出してから15分後。
百花は今村敦事務所近くの交差点にいた。
「…はぁ? なんで堂城先輩にあんな事言っちゃたんだろう?」
(もう、冗談に決まってるじゃあないですか! 先輩の事、本当に好きになったりしませんよ?)
堂城先輩の元を離れる前、私は、自分のオネェキャラを元後輩である私どころか、黒蝶メンバーにも知られていた事にショックを受けていた先輩に冗談交じりにオネェの先輩も大好きですよって言ってそのショックを柔らかせた。
そのおかげなのか、堂城もようやく元気を取り戻した。
でも…本当は、堂城先輩の事…
「あぁ! ダメダメ。堂城先輩には、彼女が居る! それも…」
百花は、ずっと堂城に片想いをしていた。
でも…その想いを一度も伝えたことはない。
理由は、堂城の彼女が元上司で現雫丘出版の編集長の犬塚梨々花だからだ。(※百花の勘違い)
だから、伝えたくても二人の関係を崩す事ができなくて堂城に自分の気持ちを伝える事ができなかった。
「…はぁ? いつまで先輩の事引きずってるの? 私? あぁ! 信号変わった? 急がなちゃ」
悠は、14時に迎えに行くと伝えていた。
でも、色々あって遅れてしまった。
「危ない!」
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