第18話

今村は、悠が完全に部屋から居なくなったことを確認すると、入ってきたスーツ姿の男性の胸蔵を掴み…

『おい! ここには来るなって言っただろう! 俺達の関係がサツにばれたたらどうするんだ』

「!」

 部屋をでてそのまま百花に電話して迎えにきて貰おうと思っていた悠は、口を塞いでその場に座りこむ。

『すみません! でも、緊急事態だったので、それより、真里亜が警察に連れて行かれました。敦、ここに警察が突入してくるのも最早時間の問題です。早く逃げて下さい! 俺がここで時間を稼ぎますから」

(…警察? えっ!)

 悠は、突然飛び出してきた警察という言葉にその場から完全に動けなくなってしまった。

 だけど…動かないと彼らに見つかってしまう。

(動け動け! 俺の足! 動け動け俺の体!)

「解った。でも…さっきまでここにいたあの少年はどうする? お前? 奴に顔見られてるよな? どうする? 消すか?」

(! ぁぁぁぁ! ヤバ!)

 動かない体をどうにかして動かそうとしていた悠は、二人の声に手に持っていた取材道具を床に落としてしまう。

「誰かいるのか!」

「ヤバ!」

 今村の声に、悠は、必死に自分の口を塞ぐ。

(やばい殺される! 動け俺の足! 動け!)

 自分の足に向かってなんでも念じると、右足が少し動いた。

「俺ちょっと見てきます」

(こっちにくる? 動け俺の左足! 動け!)

 俺は、必死に動かないもう片方の(左足)思いっきりを叩いた。

 すると、5~6回叩いた所でやっと動いた。

(よし! 動いた! 行け! 俺!)

 男が扉を開けるまさに数秒前にその場から逃げ出す事ができた。

「あれ? だれもいない?」

 扉を開けたスーツを着た男性(荒木平祐)は、首を傾げる。

「荒木? 誰かいたか」

「いません。それよりも敦。早くここから逃げて下さい!」

「そう言われてもなぁ…」

 荒木は、それでも逃げようとしない今村敦の胸蔵を掴み、強引に部屋の外に押し出す、内側から鍵を閉めた。

「おい!」

 今村が外から部屋の鍵をドンドン叩く。

「敦。俺は、どうなっても構いません。でも…敦。お前には、まだやらなちゃいけない事が沢山あるだろう!」

「…」

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