素直になってもいい？

１月５日　１３時　今村事務所　（同時刻、市宮百花は会社にいた）

「今村さん。今日は、忙しい中、本当にありがとうございました」

　今村に頭を下げる。

「いえ。こちらこそ、今日は楽しかったです」

「では、雑誌が完成したら、またご連絡致します」

「音無君」

「はい！」

　カバンを持って、部屋から出て行こうとした悠を今村が呼ぼ止める。

「きみもあんな先輩をもって大変だろうけど頑張ってね？」

「あぁありがと……いやぁ？　今日は市宮先輩がすみませんでした」

　感謝と謝罪を言って、今度こそ、事務所を出て行こうとしたら、部屋にスーツを着た男性が慌てて様子で入ってきた。

「せっせせ先生！　た！」

　でも、すぐさま、悠の存在に気づき…自分に対して頭を下げてきた。

「すみません！まだ、先生仕事中でした？」

　出て行こうとして男性を悠の方を一瞬見る。

　そんな男性に向かって、悠は笑顔を見せながら、

「あぁ！　自分なら大丈夫ですよ？　取材もいまもう終わりましたら。では、今村さん。自分はこれで失礼します」

　悠は今村、そして、慌てて様子で事務所に入ってきたスーツを着た男性に頭を下げて部屋から出て行った。

「おい！　ここに来るなって言っただろう！　誰かに見られたらどうするんだよ！」

「！」

★

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい