第10話

「…あの? それでは今村さん取材を始め…」

 俺は、しょうがなくバックから取材道具を取り出し、今村議員に一人で取材を始めようとしたら…

「…音無君だっけ? きみもあの先輩みたいに僕の不倫を疑ってるの?」

「…えっ!」

 俺は、危うく取材道具であるICレコーダーとメモ帳とペンを床に落としそうになった。

 だが、寸前の所で持ちこたえた。

(…ふふふふふふ)

「ああおああの? 今村さん? いま何か言いましたか?」

 俺は、今村さんの言葉の真意が分からず首を傾げる。

「いやぁ? それよりやっぱりきみも僕の不倫を疑っているのかなって?」

 自分の顔をギリギリの距離まで近付くてくる今村に…俺は思わず…

「…そそそれは…自分も週刊誌の記者の端くれですから、疑っていないと言えばうそになります」

「そうだね? でも、俺は、不倫なんてしてないし。なんならそんなありもしない記事を週刊誌に書かれると困るんだよねぇ?」

「…」

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