第8話

「美味しい! 最高! こんな美味しいチョコレートケーキ食べたのはじめて…あぁぁぁこんなに美味しいならもっとちゃんと味わえばよかった」

 チョコレートケーキを全て食べ終わった私は…美味し過ぎて頬が緩む。

「…滝川さん。よかったら僕の分も食べませんか?」

 私の告白を最後に、私に対しての申し訳なさから一切口を開いていなかった昴さんが、自分の分のチョコレートケーキチョコレートケーキを私に差し出してきた。

「いいんですか! あぁぁでもやっぱり…」

 昴からの嬉しい提案に、一瞬私は、彼が差し出してきたケーキ皿に手を伸ばし…かけた所で引っ込めた。

「ふふふふふふふふっ」

 突然大きな声で昴が笑い始めた。

「昴さん! なんで笑うんですか!」

「だって、滝川さんがこのケーキを食べたいのがバレバレなのにそれを頑張って必死にこらえてるんだもん」

「…それは…」

 だって、例え、昴さんが手をつけていないとしても、私がそれを食べるという事は…昴さんと間接…

「あぁぁもしかして灯の事? 気にしてます? だったら…大丈夫ですよ? 灯は、今日の貴女と会うこと知りませんから」

「えっ!」

 昴からの突然の爆弾発言に…私は、手に持っていたスプーンを床に落としてしまう。

「滝川さん!」

 昴さんは、立ち上がり、私が落としたスプーンを拾い上げる。

「…ありがとうございます。昴さん今の話本当ですか? 今日、私と会う事、樋宮さんに話していないって」

 スプーンを受け取りながら、私は、昴さんにさっきの言葉に意味を尋ねる。

「本当だよ? 灯には、今日の事おろか、滝川さん。貴女の事は一切話していません」

「…そうなんですか。昴さん!」

「はい」

 昴さんは、何を言われるか分かっているのか真っすぐ私の顔を見てきた。

「…昴さん。今日はありがとうございました。そして、3年もの間、片想いをさせて頂きありがとうございました」

 さよなら…私の…3回目で最高の恋。

 さよなら…私の切なくて苦しい…初めて本気になった最高の恋。

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