第5話
12月24日 鳴海坂昴の結婚式前日。
「あぁ! 滝川さん。こっちこっち」
自分に向かって昴さんが手を振っている。
「昴さん! すみません。遅くなりました」
私は、急いで昴さんの元に走っていき、頭を下がる。
滝川春は、鳴海坂昴への未練を断ち切る為に、明日結婚式を挙げる昴に失恋するのは解っているが自分の気持ちを伝える事にした。
だから、昴に無理を言って前日である24日の夜に、私の会社(雫丘出版)の近くのレストランで会う約束を取り付けた。
いざ24日当日になってみると、溜まっていた仕事が終わらず、結局約束していた20時までに仕事が終わらず、約束より1時間も遅い21時まで掛かってしまった。
「滝川さん。仕事で晩くなったんですからしょうがいですよ?」
「でも……私から無理言って時間を作って貰ったのに」
自分から、無理を言ってお願いした手前申し訳ない。
「そんなの全然気にしなくていいのに。それなら僕も同じ。ねぇ? だから座って」
「…はい」
「いらっしゃいませ。ウエルカムドリンクになります」
「ありがとうございます。あぁ! 滝川さんは、お酒大丈夫だった? 勝手に赤ワインでお願いしちゃたんだけど」
「あぁはい! 大丈夫です。じゃあなくて…昴さん! 明日結……」
と滝川が昴に突っ込もうとしたら…
「は、料理をお持ち致しますので、わたくしはこれで失礼します」
赤いワインを置き終わったウエイトレスが、頭を下げて調理場に戻っていく。
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